第74章 ぼくだけの姫君 四男END
一松視点
ひとりが好きな理由なんて単純明快。
楽だから。
人に気ィ使ったり、顔色伺って合わせたり、そーゆーのメンドーだから。
集団行動とかホント無理。
某体育大学の集○行動に参加したら、一秒で転んで三秒で踏み殺される自信ある。
いや、これはまた別の話か。
話を戻すとさ。
コミュニケーションスキルとか皆無なんで。
周りの会話聞きながら存在消すのが精一杯。
え?空気が淀む?
じゃあいなくなりますサーセン。
———ってのはウソ。
なんでお前のために労力使わなきゃなんないの?
おれがイヤならお前が消えればいいじゃん。
って、誰に話しかけてんのおれ?
見えない何かに語りかけるおれって、気味悪いよね。
なら…蔑んじゃっていいよ。罵ってもいい。
…踏んづけちゃってください。
……だから、誰に言ってんだよ。
はぁ…バカらしい。
それにしても。
みんな、大した価値もないくせになんであんなに生き生きしてんの?
根拠のない自信はどこから来てんの?
アイツらと同じ空気吸ってるってだけでイラっとすんだよ。
人なんて…綺麗事並べておきながら、すぐ裏切るし。
笑顔の裏で嫉妬や憎悪が渦巻いてるくせにさ。
他人なんて、信じるヤツがバカを見る。
だからおれは初めから期待なんてしない。
誰も信じない。
それに比べて猫はいい。
可愛いし裏切らないし肉球ぷにぷにだし、何より一緒にいて疲れない。
だからおれは、猫さえいれば何もいらない。
猫と共に生きてゆく。
ね?クズにはこーゆー生き方しか出来ないわけ。
でも別にいい。
おれがこんな風に生きてても、誰にも迷惑かけないし。
誰も…傷つけないから。
主は、おれなんかいなくても平気だから。
きっと、おれがいなくなってもすぐ忘れんだろ?
すぐ…代わりを見つけんだろ?
だから。
おれなんか——。