第73章 ※カラ松のお年玉
主人公視点
お参りを終えたわたしは、おそ松くん達に連れられおみくじ売り場に来ていた。
カラ松くんを待っていたけれど、5分以上手を合わせたまま動かなかったので、十四松くんに手を引かれ強制連行されたのだ。
「おみくじワッショーーイ!!ワッショイワッショイワッショイワッショ」
「十四松、よーしよしよしよし…」
テンションMAXな十四松くんがついにハッピに着替え始めたので、一松くんが顎をさすって落ち着かせている。
面白いなぁと眺めていたら、トッティが隣にやって来た。
「ふふっ、いつも兄さん達がぶっ飛んでてゴメンね」
「ううん、みんな面白くて楽しいよ!カラ松くんが心配だけど」
「いい大人なんだから平気だって!カラ松兄さん、いっつも主ちゃんを独占してるでしょ?たまにはボクにも独り占めさせて?」
トッティが可愛くニコッとした背後から、赤と緑のパーカーを着た二人がすごい形相でこちらを睨んでいる。
トッティの肩をポンと掴んだのは赤パーカーの主。
「ちょっとちょっと末っ子〜。うまい事アイツから引き剥がしたのに、なーに調子のってんの?」
「おそ松兄さん、どうする?コイツも排除する?」
トッティは、片手でおそ松くんの手を払った。
「やめてよ兄さん達。はぁ…新年早々、兄弟で潰し合いか。ったく、ヤダなぁみんな血の気が多くて」
三人がわたしを囲んで睨み合っている…。
「でもここ神社だよ?神社で喧嘩とかバチ当たりじゃない?とりあえず公園に場所変えよっか?」
「チョロ松くんどうしたの!?喧嘩?公園?あの、今っておみくじを…」
話途中だったのに、トド松くんが人差し指をわたしの唇にあててストップをかける。
「怖がらないで?これは、王道ラブコメを目指した結果、ヒロインを奪い合うという定番中の定番。ボク達六つ子が裂けては通れない道…六つ巴合戦なんだ」
「でも、奪い合うというか、カラ松くんと付き合」
「何も言うな主!俺たちを見守ってて!そして感じるまま、話の流れに身を任せるんだ!!」
おそ松くんの熱い視線がわたしを捕らえる。
燃えるような瞳が男の覚悟を物語っている…気がした。