第8章 婚約者候補、現る!!?
「なんでもないから、仕事、続けて?」
「は、い...」
親子みたいな関係、
お嬢様はみんなによくそう言う。
だけど俺はそうは思わない。
若いうちからここに見習いとして雇われ、
お嬢様の成長と共に時を過ごした。
ガチャン
虚しく響くドアの閉まる音。
そうか、そうなんだ。
ズルズルと座り込む。
気づいてしまったこの気持ち。
「....なんで俺...」
婚約者候補が、来るというのに。
お嬢様に対してこんなやましい気持ち...
消さなきゃ。
押し殺さなきゃ、"恋"という気持ちを。