第16章 見つける
皆の動きがとまり、こちらを向く。
「いつもより遅いから、来ないかと思ったじゃーん。よかったー」
こうやって、ストレートに言ってくれるコガの存在は、ありがたい。
ふっと笑みが溢れた。
コガの後ろで水戸部がオロオロしている。
「何言ってんだよ、ダァホ‼」
と、日向がコガをはたいた。
土田や伊月が「おはよう」と返してくれた。
昨日は腫れ物にさわるようなギクシャクした感じがあったが、今日は、いつもと変わらない。
よかった…
「もう、心配したわよ」とリコが寄ってくる。
たぶん、昨日の話しを日向から聞いたんだろう。
「ギリギリに来ちゃってごめんね。あの…これ、作って来たの。よかったら食べて」
「昨日のお詫び」と付け足して、いくつかタッパーの入ったバックを前に出した。
「なんで陽向が詫びるんだよ…」
なんて呟きながら、「ありがとな」と日向が言った。
「何、何ー?何それー?」
コガがバックの中を覗こうとするが、リコに奪われる。
「今食べてどうすんのよ。休憩時間に決まってるでしょ!ほら、碧も、準備して」
「さぁ、はじめるわよ!」
リコの掛け声と共に練習がはじまった。