第66章 伝える
《今度、家来て。皆、会いたがってる》
書かれた文にコクンと頷いた。
向き合うでも、隣に座るでもない。
凛の膝の間に座って、背中から包み込まれていた。
暖かい。
安心する。
ドキドキする。
【ずっと一緒いよう】
先程、そんな約束を交わした私達。
こどもじみた約束なのかもしれない。
だって…
これから先は長い。
たかが出会って2年目。
私達は、まだまだ始まったばかりだ。
未だに、凛の言いたい事が読み取れない時だってある。
今回みたいにすれ違ってしまう事だってきっとある。
それでも、
ちゃんと向き合えば、
凛の表情から、仕草から、行動から、
凛の思いは伝わる。
凛の言葉は聴こえる。
今までだってそう。
凛はちゃんと伝えてくれていた。
だから、私もちゃんと伝えよう。
何も誤魔化さずに、ちゃんと伝えていこう。
「凛、大好きだよ」
伝える。聴こえる。【完】