第13章 話す
「そういえばさー。従兄弟もバスケしてるんだよね?どこの高校?」
また、コガが聞く。
「秀徳だよ。この前のベンチにはいなかったけど…」
「幼稚園からずっと一緒だったのに同じ所には行かなかったのか?」
今度は土田が聞く。
《ずっと一緒だった》は彼女からの情報だろう…。
「うん…。秀徳だと、電車に乗らなきゃ行けないから…」と答えた。
「前にも聞いたけどよ…」
少し気まずそうにしながら、日向が話しはじめた。
「何で電車が嫌なんだよ。バスは乗れるんだろ?わかんねー」
(それには答えたくない)
いつまでも口を開かない私に、尚も日向が続けた。
「興味本意で聞いてんじゃねぇぞ。電車移動の度にあの様子じゃ気の毒だし、だからって高校生の俺らに他に移動手段も無いだろ?なんとかしてやりたくても、理由がわかんないんじゃどうにもしてやれないだろうが」
「…うん」
「俺らなりに心配してんだ。だから聞いてる」
言われて下を向いた。
話したくない。
しかも男子に…
でも、私の事を知りたいと言ってくれた皆に、これだけ真剣に言われて話さない事も不誠実に思えた。