第13章 話す
お弁当を持って戻ると、皆が輪になっていた。
入りづらい…
どうしようか?と迷っている中、
視線を感じてそちらを向くと、
ニコリと笑う水戸部と目があった。
彼は座っていた位置を少しずれて、
自分の隣をポンポンと叩いていた。
『ここに座れ』ってことかな?
「隣、いいの?」
コクリと水戸部が頷く。
反対側からはコガが
「どーぞ‼」と場所を示す様に手のひらを差し出していた。
「じゃ…じゃぁ、お邪魔します」
促されるまま、腰を下ろす。
そこで、ふと気づいた事がある。
練習後からリコの姿を見てない…。
「あのさ、リコ…どこにいるか知らない?」
誰にと言うわけでもなく問いかけると…
「カントクなら、木吉のとこ。伝えといてくれって言われた」と真正面にいる日向から返事がくる。
「お見舞い?」
「おう」
リコが居なくて一人になるから誘ってくれたみたいだ。
皆、優しい。
「そっか。ありがとう」
そう返して、お弁当を広げた。