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【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第12章 立ち止まる


決勝リーグ進出を決める試合。

それには勝つ事ができた。



でも、気分が晴れない…。


今は病院からの帰り道だ。




試合中、木吉がケガをした。



膝を抑えて倒れる木吉も、
『わざとだ』と相手チームに掴みかかる日向も見ていられなかった。


『碧、鉄平についていって‼』

リコの声が通りすぎる。
聞こえてはいるが意味が理解出来なかった。

担架で運ばれる木吉が見える。

『碧!!しっかりして』

再び聞こえたリコの声で、なんとか我に返って、立ち上がった。




何をしていいかわからない。
かける言葉も見つからない。

『大丈夫?』なんて安易な言葉…
ありきたりな言葉…

それすらもかけられない。

だって、
木吉が試合の途中で抜けるなんてよっぽどの事だから…

絶対に、《大丈夫じゃない》から。


救護室で横になる木吉の側に、
ただ、ただ、座っていた。

『大丈夫だ。そんな顔するなよ』

木吉の手が私の髪を撫でる。



私はコクコクと無言で頷く事しか出来ない。

気を抜いたら、泣いてしまう…。




だから、安心させてくれようとしている木吉の言葉に

『そうだね。大した事ないよね。大丈夫だよね』

なんて、笑って返す事も出来なかった。



下を向いたまま、
首振り人形の様に、

頷くしか出来なかった…。










辛いのも痛いのも木吉のハズなのに、気遣われていた自分が情けない…。

『迷惑をかける』そう言った清志くんの言葉が頭をかすめていく。



「陽向ー。心配しすぎだって!木吉も大したことないって言ってたし。大丈夫!大丈夫!」

陽が落ちて行く中、明るいコガの声が下を向いていた私の耳に届いた。


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