第10章 開く
プール練の後。
みんな倒れてる…。
「大丈夫?」
声をかけてそれぞれにドリンクを渡すが、
「たぶん無理…」なんて…。
この後、授業なのに…
「碧、俺にもくれ」
木吉が手をだした。
「はい。どうぞ」と手渡す。
昨日のような顔の熱さは無かったけど、皆の視線を感じた。
「なんで、名前で呼んでんのー?」
コガが聞いた。
「付き合ってんのー?ねぇ、そうなの?そうゆう事?」
なんて意気揚々と木吉に聞いている。
だけど、聞かれた本人は口を開かない。
ニコニコ笑ってるだけ。
皆の目線が私に向いたので、
「ち、ち、違うけど…そう呼ぶらしくて…」
私がそう答えた。
相変わらずニコニコと笑みを浮かべている木吉。
正直、彼がなんで名前で呼び出したかなんてよくわかんないんだけど…
「ふーん」とコガが答えた事で、この話しは終わった。
「モタモタしてないで、さっさと着替えて学校行くわよ‼ホラ‼」
リコの掛け声で皆が動きはじめる。