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【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第7章 帰り道


「見学行ったんだろ?どうだった?」
一歩分くらい前を歩く清志くんが、振り向かずに聞いた。


「楽しかったし、やってみようかなぁって思ってる…」


視線を感じて語尾が小さくなっていき、
おずおずと顔をあげると、


「そんなんで大丈夫かよ‼」

と清志くんは立ち止まった。


「今まで、航とか俺や裕也の応援にもろくに来なかったじゃねーか。バスケに興味なかったんだろ?そんな奴にマネージャーが出来るとは思えねーけど」

清志くんの言葉がグサグサと胸に刺さる。


「男バスだろ?男子ばっかだぞ?わかってんのか?」

「…うん。でも、今日は大丈夫…」

「大丈夫じゃねぇだろ!?部員には、お前の事情なんて関係ねぇんだよ。一生懸命やってる奴等の中で中途半端な事するのは失礼だぞ?それくらい、わかるだろ?」


おまけに

「お前、どんくさいし失敗続きで呆れられるだけだろ。そうゆう奴、マジで迷惑だから止めておけ」と最後のダメ押しをくらった。



清志くんの言う事はごもっともだと思う。
でも、やってみたいと思った。
頭ごなしに、その気持ちを否定されるのは悔しい。



私は、裕ちゃんとは偶に言い合いをするけど、清志くんに言い返すことは出来ない。


眉間にシワを寄せる清志くんが、どうしても苦手だから…。
私は、小さい頃の…向日葵みたいにニカリと笑う清志くんが好きだから。

だから…。

私が話したり、何かをしたりすると、清志くんの眉間にシワが寄るから…。



悔しい気持ちはあるのに、うまく言葉が出て来なくて、変わりにポロポロと涙が出た。

(泣くなんて卑怯だ)


自分でわかっているけど止まらない。



案の定、振り返った清志くんが焦っている。


「ごめんなさい…」震える声で呟けば、

「いや、俺が悪い。言い過ぎた」と。


泣き止みたいのに、涙が止まらない。
ちゃんと言葉で言えない自分が本当に嫌だ。




「もう、泣くなよ…」

清志くんの指が、涙を拭うように頬を撫でた。
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