第66章 伝える
チュッという音をたてて、
唇が触れたのは、私の頬だった。
身体が軽くなって、目を開けた。
クスクスと肩を震わす凛が私を起こしてくれる。
《ごめん。ちょっと意地悪した》
そう、書かれた文面に強張っていた肩の力が抜けた。
『言いたい事、わかった?』といった表情で、私の顔を覗き込む。
恥ずかしさを隠すように「もう」と膨れれば、
《大事にしたいから》
凛の手がペンを持って綴った。
《万が一の責任がとれないのに、そうゆう事は出来ないよ》
《お互い、まだ高校生》
『そうでしょ?』
問いかけるように微笑む彼は本当に私を大切に思ってくれているんだとわかる。
私は、凛が大好きだ。
彼と居ると本当に幸せだ。