第66章 伝える
「凛…」
凛の胸元に飛び込んだ。
背中に腕を回して、ぎゅっと凛の服を握る。
(伝えなきゃ。ちゃんと言わなきゃ)
若干戸惑うように、凛の腕が背中に添えられたのを合図に、声をふり絞った。
「私も凛が好き。凛がいい。
私、面倒くさいけど…。いっぱい凛に迷惑かけるけど…。凛と居たいの。凛がいいの」
言い終わるのと同時に、また、ぎゅっと服を握った。
『わかったよ』
そう言うように、凛の手のひらが私の髪を撫でる。
「ごめんなさい。大好き。凛が好き」
顔をあげると、『俺も』と微笑んだ。
ぎゅっと、強く、凛の腕が私を抱き締める。
それに答えるように、私もぎゅーっと背中に手をまわした。
ドクドクと脈打つ凛の鼓動を感じていると、身体から片腕が離れて、カリカリとペンを走らす音が聞こえる。