第66章 伝える
《正直、ムカついた》
書かれた最初の一行で、もう挫けそうだった。
《話してくれなかった事とか、嘘つかれた事にも怒ってないわけじゃない》
怒られて当然。
私は誤魔化そうとしていたから…。
《でも、碧は嫌だったんだよね?》
最後に目にした一文に、
「嫌…だったよ…」
震える声でそう返事をした。
また、カリカリとペンが走る。
《だったら、もういいよ。碧が嫌な思いしたのに、俺が責めるのは違うよ》
「でも…」
《宮地さんには怒ってる。でも、碧には怒ってない。それだけ》
「凛…」
《きつく当たり過ぎたと思ってる。ごめん》
いつの間にか目に溜まった涙が、
ポロリと溢れると、
凛の腕が伸びてきて、流れる涙をぬぐった。