第62章 絡まる
スカウティングは、私が見たところで役に立たないのはわかりきっているので、最後列に腰をおろした。
見ているのは、洛山対秀徳戦。
隣に座る凛は、いたって平静に見ているように見える。
でも、清志くんがシュートを決める度、いつの間にか重なっていた手がぎゅっと握られた。
(凛…ごめんね)
昨日の今日で、平気なわけない。
それでも、必死に頭から振り払って、試合に望もうとしている凛に胸が痛い。
朝、私の手を離さなかったのも、そうゆう事なんだろう。
(大事な試合前にごめんね)
心のなかで語りかけて、私はうつむいた。