第61章 向き合う
「こんな時間なのにいいの?明日も試合あるんじゃ…」
そこまで言うと、
「うるせーよ。嫌味か」と睨み付けられた。
普段なら下を向く所だけど、今日はぐっと堪える。
「嫌味なんかじゃないよ。清志くん、かっこよかったよ」
目の前の従兄は目を見開いて驚いていた。
いい機会だ。
ちゃんと伝えてしまおう。
「何回も誘ってくれてたのに、今まで、観に行かなくてごめんなさい。興味ないって言ってたのも嘘じゃないんだけど…私が行っても邪魔かと思ってたの」
「おい、おま…」
清志くんの言葉を遮る。
「私、清志くんにうっとうしがられてると思ってたから…。でも、今日の試合見て思ったの。もっと早く応援に行けばよかったなーって…」
黙って下を向いている清志くん。
いつもと逆だ。
「昨日の…事は…、嫌だった。たぶん、許さない。でも、やっぱり…嫌いにはならない…かな?私も、きっと…今までたくさん傷つけちゃったんだよね?ごめんなさい」
そう言って頭を下げる。
「碧…」
と力無い声で清志くんが呼んだ。