第55章 彷徨う

はじめてかも知れない…。

凛の声が聞きたい。
そう思った。

本当は会いたい。
だけど、私達はたかが高校生。
こんな時間に、ドラマみたいな『今すぐ会いたい』が許される訳ない。


代わりに…声が聞きたい…。


ただ、実は…
それが一番難しい…。


それでも、胸の中のモヤモヤを少しでも取り払いたくて、

ケータイを手にとって

【起きてる？】と凛にメールした。



‐‐‐‐‐‐‐‐
From:凛
To :
Sub :
‐‐‐‐‐‐‐‐
起きてるよ。
どうしたの？
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すぐに返信が来た。


【お兄ちゃんいないから、家に一人で寂しくて…】

本当は違う。

『いつ別れるかわからない…』
清志くんに言われた言葉に凄く不安を感じたから…。

今日の事を知られたら嫌われてしまうって、思ったから…。

だから…
また一つ、凛に嘘をついた。


‐‐‐‐‐‐‐‐
From:凛
To :
Sub :
‐‐‐‐‐‐‐‐
珍しいね。
碧が自分から甘えてくるなんて。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐



【ごめんなさい】




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From:凛
To :
Sub :
‐‐‐‐‐‐‐‐
謝ることないよ。
嬉しいよ。
‐‐‐‐‐‐‐


それから、とりとめのないメールが続いた。