第55章 彷徨う
いつもは返信に間があるけど、今日は私が送るどうでもいいようなメールにすぐ返事をくれた。
たぶん、私が『寂しい』って言ったから。
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From:凛
To :
Sub :
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碧、寝れないの?
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凛からのメールで時計を見れば、日付が変わろうとしている…。
【ごめんなさい。眠いよね?】
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From:凛
To :
Sub :
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謝ってばっかりだよ。
正直、眠いけど、碧が寝れないなら付き合うよ。
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試合後なのに…。
凛は疲れてるのに…。
何してるの?私。
凛に甘えて、迷惑かけて…。
自分勝手だな、私。
【大丈夫。ありがとう。おやすみなさい】
そう送って、終わらせる事にした。
凛は次の試合に向けて、ゆっくり身体を休めなきゃいけない。
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From:凛
To :
Sub :
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本当に大丈夫?
寝れなかったらまたメールして。
おやすみ
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凛から来たメールを見てケータイを閉じる。
頭の中は、もうどうしたらいいか分からない位ぐちゃぐちゃだ。
ただ…
今日、
清志くんにキスされた事。
清志くんの気持ちを聞いた事。
凛にいくつも嘘をついている事。
全て無かった事に出来たら…と思う。
いっその事、清志くんを嫌いになれたら楽なのに…
『こんな事された』って、凛に泣きつけたら楽なのに…
どうしても、それは出来そうにない。
イヤだった。
イヤだったけど、
清志くんを一方的に悪者にしたくない。
どうしたらいいか分からない。
凛に知られて嫌われるのも、
清志くんを嫌って突っぱねるのも、
両方、イヤだと思ってしまう。
本当に自分勝手…。
このまま、今日の事を誤魔化し続ける気でいる自分に気づいた。
清志くんに甘え続けていた今まで。
凛に甘えて、頼りきっている今。
バスケ部に入って、ちょっとは変われたつもりでいたけど、
寄りかかる対象が変わっただけで、
私は、何も変われてないじゃない。
誰かに頼りきりで、
嫌だ嫌だと、泣いて逃げるだけの自分。
自分なんか大嫌い…。
結局、私が眠る事が出来たのは、明け方だった…。