• テキストサイズ

【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第53章 揺さぶる


どれくらい、そうされていたのかわからない。

たぶん1分も無い。
数十秒の事だろう…。

それでも、物凄く長く感じたその時間は、「わりぃ。碧」と言う清志くんの言葉で、やっと解放された。


「俺…」

「…い、嫌ッ‼」


清志くんが言おうとした言葉も、意識がふらつく私を支える腕も振り払う。

逃げ出したい。清志くんの側に居たくない。



頭の中に浮かぶのは『なんで?』の言葉。


なんで…こんな事するの?





「待て!」という声を無視して、足を動かした。



上手く走れない。

足がもつれる。


それでも、少しでも離れたい。


気持ちばかりが焦って、

どんくさい私は派手に転んだ。


膝に血が滲む。
目に涙が溜まる。


それが、傷みからなのか、悲しさからなのかわからない。


(凛…。凛…)

(ごめんなさい…)


膝を抱えたまま、立ち上がる事の出来ない私に、

「大丈夫すっか?」と手が差し出された。


見上げれば、チームメイトの顔が見える。

「火神…」

/ 402ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp