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【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第49章 休める


(えっ!桃井さん?)


女湯の露天風呂では、リコと桃井さんが揉めていた。

「首洗って待ってろ‼」とリコが叫ぶ。


「ちょっと、リコ。どうしたの?落ち着こうよ」

とりあえずリコを宥めて、立ち上がった二人を座らせた。


「上から物言われてムカついただけよ」

不満を表すように膨れて顔を半分お湯に沈めるリコ。

「すみませんー」

と、余り悪びれる様子のない桃井さんの謝罪が聞こえた。



二人の間に座った私は苦笑いを浮かべるしかない。



「マネージャーさんですよね?」

にっこりと微笑みながら桃井さんが私を見て話し出す。

この美少女の笑顔が…

『嫌な感じ』とまでは失礼だから言わないけど、

少し『怖く』というか、腹の内を探られるような感じがしまうのは何故だろう…。

嫌な緊張感が身体に走る。



「そ、そうです」

「陽向 碧さん」

「は、はい」

「水戸部さんとお付きあいしてるんですよね?」

「えっ?」

「私もテツくんと…」

「はぁ…」


この何とも言えない空気感はなんだろう?

せっかくの温泉なのに変な緊張感で、ちっとも休まらない。


「陽向さんも、肩凝りとか酷そうですね。リコさんと違って」


「えっ?…否…」


「私も酷いんですよー。温泉、気持ちいいですよね」


「そ、そうですね…」


「あっ、そうでした。リコさんにも話したんですけど、一回戦はウチとやるんです。よろしくお願いしますね」


「…はい。こ、こちらこそ」


「それでは、私、行きますね」


終始、桃井さんのペースで会話が進み、
最後にニコリと可愛い笑顔を向けられて、
戸惑う私に構いもせず、
彼女は上がって行った。

「はぁ…」

なんだろう…。
この短時間で疲れた。



「ちょっと、碧。ビシッと言い返しなさいよ!」


緊張がほどけた身体に隣から飛んできたリコの言葉。



曖昧に笑って隣を見れば彼女の顔が…怖い。




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