• テキストサイズ

【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第5章 勧誘


「ねーねー、何してんの?」


聞かれたので、素直に「木吉から逃げて来た」と答える。


水戸部の苦笑いが見えた。


「マネージャー嫌なの?無理強いするつもりはないから断っても大丈夫だよ。それとも木吉が嫌なの?」

なんて、コガはストレートに聞く。



「ど、どっちも、嫌な訳じゃないよ。ただ、休み時間の度にその話しだから周りにクスクス笑われちゃうのが気になって…。それに、マネージャーなんて、務まる自信がなくて…。…従兄弟によく言われるんだけど、私…どんくさいみたいで…皆の足手まといにならないかなぁ?って思ってさ」

若干つまりながらではあるが、珍しく言葉が出てくる。

「…昨日ね。その従兄弟に相談したら『お前がマネージャーとか想像できねぇ』とか言われちゃったし。実際、幼稚園から中学まで、助けてもらったり、迷惑かける事ばっかりで…」

頭の中に、従兄弟の顔が浮かぶ。

特に清志くんは私のお世話係みたいになってしまって、『どんくさい!!』とよく呆れられた。

人混みに行けば…
『お前はぜってー転ぶし、波にのまれてはぐれるから、手離すな‼』と手を繋いでもらい、

荷物を運べば…
『あー。そんなん持つな‼落とす‼寄越せ』とほとんど持ってくれて

走って転びそうになると…
『あぶねーな。お前は走るな』と抱き止めてくれた。


その他にも迷惑をかけた、数々…

そして、その度に眉間にシワを寄せてしかめる清志くんの顔はちょっと苦手で、そんな顔をさせる自分が嫌いで。

せめて、他人には迷惑かけないように気をつけようと思った。

結果、いろんな人の顔色を伺うようになった。
『迷惑かけてないかな?』
『呆れて嫌われてないかな?』

気にすれば、気にする程そんな思いが侵食していく。
嫌になるほどのマイナス思考。


変わりたいと思ってはいるけど、難しい。



/ 402ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp