• テキストサイズ

【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第43章 変わる


堀内くんの声は意外と遠くまで聞こえていたらしい。

男女は逆だけど、
一般のカップルくらいの身長差はある私達に教室内の視線がちらほらと集まる。
バスケ部の3人が苦笑いをしていた。

「違ってたらごめん。隣に並ぶの久々だからそんな感じがしちゃって。それとも僕が縮んだのかな?」

エヘヘと場を和ますように、そう堀内くんが笑う。



すると、「それ禁句だって‼」と先程の一角から声が上がった。

それを皮切りに、

「前から堀内よりはデカイだろー。お前ら男女逆」とか、
「バスケ部のマネじゃなくて選手だろ。陽向じゃ無理だけど」
なんて、クラスメートの声が聞こえた。

「ちょっと!」

梓ちゃんをはじめ女子の皆が止めてくれるが、その声は消えない。

消えるどころか、どんどん増幅して、

「背もだけど胸もな」
「デカイよなー。水戸部いいなー。お前ら長いだろ?もうヤったしょ?なぁ、どんくらいあんの?絶対、手に余るデカさだろ?ちょっと触らしてくんない?」
「黙ってないで答えろよー!ってか、そうゆう時も水戸部ってしゃべんねぇの?最中無言?ウケる」

ギャハハと笑い声が響く。


もう、嫌だった。
私だけならまだいい。
でも、今はそうじゃなくて…。
凛まで標的にされて…下世話な話題でバカにされて、頭の中で何かが弾けた。


「何が…、何が悪いの?」

からかう一角に向けて言葉を発した。

「えっ?」

とクラスが静まり返る。


「私の背が…高くて、何が悪いの?私の背は…無駄じゃないよ。届かなくて困ってる人と、か、替わってあげられる。さっき、そ、それ…をしようとした人が、貴方達の中にいますか?」

精一杯の反論だった。

目の前まで来ていた、凛やコガが驚いている。

普段、おどおどしている私が言い返すとは思わなかったんだろう。

何も彼等から反論は来ない。


『背筋を伸ばしなさい』
『顔を上げなさい』
リコの言葉が頭に響いた。


「日直は貴方達じゃないの?ま、まずは堀内…くんに、お礼す、べき…だと思う。そ、それに…凛との事だって、貴方達には関係ない!!」


ふだんの私ならうつむいてしまうけど…
丸めた背すじを伸ばして。
下を向きそうになる顔を上げて。

…でも、やっぱりこの場には留まれなくて…

身体を返して教室を出た。


本当は、泣きそうだし、反論の声は震えていた…。


/ 402ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp