第42章 耽る
「最近さー。たまに思うんだよねー」
とポテトをつまみながらコガが話し始める。
「水戸部と陽向はお似合いだと思うし。水戸部の事分かってくれる奴がいて嬉しいし。水戸部が幸せそうだからいいんだけどさー」
『水戸部』『水戸部』と早口言葉の様に繰り返しながら手元を見ていたコガが、不意に私に目線を移した。
「…なんとなく、陽向に取られた気分…」
隣でブッ‼と言う音がして、そちらを向けば、ジュースを吹く凛。
ゴホゴホとむせる彼に「大丈夫?」とハンカチを差し出すと押し返されて、自分のハンカチをポケットから取り出す。
押し返された事に少しヘコんでいると、
「汚れちゃうからいいって」
ちょっとブー垂れた様子のコガが教えてくれた。
コガはさっき、あんな風に言ってくれたけど、
私は、やっぱり…
「私は…コガにはかなわないなぁって思うけどな」
「えっ?」とコガがこちらを見る。
「私はコガみたいに分かんないもん。凛が一生懸命伝えてくれるから分かるだけだもん。コガみたいに読み取れたら、凛に無理させなくて済むのになぁって」
斜め前に座るコガは呆気に取られた顔をしていて、
隣に座る凛はフルフルと首を振っている。
「こうゆうトコがやっぱお似合いかー。二人とも相手思いだもんねー」
といつもの顔に戻ったコガが言った。