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【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第42章 耽る


「二人でどっか行ったりしなかったのー?」

凛が首を振っている。

二人で出掛けたく無いわけでは無いけれど、

やっぱり…
お互いに優先すべきは部活、そしてお家の事。

だから、部活で会えるだけで充分。



「海とかプールとか行かないの?浴衣もいいけど、水戸部も陽向の水着…」

そこまで言うと、凛が身を乗り出してバシッ‼とコガをはたいた。


「痛ってー‼なんでだよー?見たいだろー?」

「……。」

「陽向の前だからって、そんな怒るなよー。 別にいいじゃん。彼女だろ?なんなら3人で行く?」

ジトッとコガを睨みつける凛。

それでも「じゃあさ…」と話し続けようとするコガの口を凛が塞ぐ。

『もう、やめろ』って事かな?


もがくコガと、それを抑えつける凛。

なんだか、二人の様子がおかしくてクスクスと笑ってしまった。


コガの前では、私と居るときと少し違う顔の凛が見える。それが結構好き。


私と居るときの凛はたぶん、お兄さんである凛に近いんじゃないかな?と思う。
自分の気持ちよりも、私の気持ちを優先してくれて、助けてくれる。


でも、コガと居る時の凛は年相応の男子高校生って感じがする。



「ちょっと、陽向。笑ってないで止めてよー」

「あははっ。ごめんね」


「もぉー。まぁ、いいや。これからも水戸部をよろしく‼」


良い笑顔を見せるコガ。


目の前の二人は、本当に良い友人関係だ。

見ているこっちが、なんだか明るく、そして穏やかな気持ちになるような…。



コガからの言葉にコクンと頷いた。

机の下では、私の手に凛の大きな手のひらが重なってぎゅっと握られる。



「いいなー。オレも彼女欲しいな。でも、その前にウィンターカップだな」


結局は部活へ行き着いて、3人でバスケの話し、チームメイトの話しに花が咲いた。








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