第39章 陰る
オロオロと焦った凛が追いかけてきた。
もともと歩幅が違し、いつも凛が私の歩くペースに合わせてくれているから、私が歩き出した所でそんなに距離が空くことはない。
掴まれた腕を振り払って抗議を口にしようとしたとき、
「おーい!」
後ろから、とても間延びした声が聞こえた。
揃って振り向くと、デカイのが走ってくる。
間違いなく木吉だ。
「ちょっと、木吉!無駄に走らない方がいいんじゃ…」
膝を気にして思わず口にするが、
目の前にやってきた木吉に「碧は心配しすぎだ」と頭を撫でられた。
凛の手よりも大きい手。
ニコニコと笑いながら私の頭を撫でる木吉に、ちょっと恥ずかしくなって、顔を伏せた。
そのまま、3人並んで歩き出す。
少し複雑そうな凛とは対称的に、
今日のストバスで正邦にあったとか、
試合がどうだったとか、
火神にお兄さん(?)が居たとか、
公式戦が楽しみだとか、
にへらと笑いながら話す木吉の話を頷きながら聞いていた。