第38章 行き交う 【side宮地】
アイツ等、後で轢いてやる。
「だから、囲まれるの苦手だから、コイツをあんま囲むなって言ってんだろーが」
若干怯えている碧の腕を掴み自分の方に引き寄せた。
まぁ、ついでだし。
コイツ、果物好きだし。
いくら勧めた所で遠慮して食わねぇだろうから。
持っていたスイカの先端を少し折って、碧の口元へ持っていく。
「口開けろ」
「えっ?」
「いいから開けろ!垂れる!」
ちょっと強引に口へ押し付ければ、閉じていた口がおずおずと開く。
そのまま放り込んでやると、
「美味しい…」
と、不安そうにしていた頬が緩んだ。
「ありがと。これ使って」
幸せそうに笑いながら差し出されたタオルを受けとる。
オマエの幸せの沸点、低くねぇか?
つうか…なんだよ。
さっきから、俺の心臓うるせぇよ。
「まだあるぞ。おいで」
木村の誘いと同時に、鳴ったのは碧のケータイ。