第37章 行き交う
「ありがとうございましたー」
皆で、お世話になった宿の皆さんに頭を下げる。
合宿中、秀徳に勝つことはできなかったけど、それぞれに気づいた事があるようだ。
皆が歩きだすので、続いて歩きだそうとすると、リコから待ったがかかった。
「碧は残って、パパの車で帰って」
「でも…来るときもお世話になったし、去年だってお世話になったのに…」
「だからでしょ?いいの。パパには話してあるから。荷物と一緒に帰りなさい。荷物の片付けも大事な仕事だしね」
リコがそう言うと、皆が頷く。
「でも、リコは…」
「私はちょっとね」とリコが笑い、「学校についたら、荷物の片付けよろしくね」と言った。
「うん。わかった。ありがとう」
リコに。皆に。頭を下げる。
再び歩き出した皆が見えなくなるまで手を振った。