• テキストサイズ

【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第37章 行き交う


「今日も暑いな…」

愚痴にも似たような独り言を溢しながら、


(練習メニューの確認をお願いします)
(練習メニューの確認をお願いします)


と、心の中で何度も呟く…。


誠凛の皆が砂浜で練習する中、私はリコからの命を受け、別の場所にいた。


一人で他校の中に入るのは緊張する。
正直、投げ出したい。皆の所に帰りたい。

部員は無理でも…

「2号に着いてきてもらえばよかったな…」

思わず口から溢れた。

タイミングを図ろうと様子を伺いながら、「ふぅー」っと大きく息を吐いて、『よし‼』と心の中で気合いを入れ直した時、目の前に影ができた。


「なーにしてんの?碧ちゃん」

「高尾、何度も言うが先輩に『ちゃん』は失礼なのだよ」


高尾くんと緑間くんだ。



「真ちゃん固いって‼本人が良いっていってんだから良いじゃん」

高尾くんはそう答える。


うん。確かに私は良いって言った。



最初の合同練習後、秀徳の皆さんに囲まれて、なんだか色々と質問をされた。
主に清志くんとの関係について…。


なんかもう、しどろもどろになっていると、


「うるせーな。従妹だって言ってんだろーが‼こいつを囲むなよ‼」


腕を引かれ、いつもの様に眉間にシワを寄せて私を庇う清志くん。

そして、これまたいつもの様に

「お前も落ち着けよ…」

と、高尾くん曰く、普段とは違うらしい声色で、そう言いながら私の頭を撫でる様子に、秀徳の皆さんは目を丸くして口をあんぐりとあけていた。


「宮地さんが、マジで別人」

そう、ケタケタ笑っていた高尾くんは、後で清志くんの跳び蹴りを食らったらしい。







まぁ、そんな事があったので、秀徳の皆さんに清志くんの従妹と認識され、気がつけば『碧ちゃん』と呼ばれている。

歳が下の高尾くんもそう呼び出したので、秀徳の先輩方は彼を注意したが、私が構わないと言って先輩方を止めた。


だって、私は清志くんの従妹なだけで、高尾くんの先輩ではない。
だから、呼び方だって、敬語だって気にしない。


ただ、秀徳の皆さんが私を名前で呼ぶ度、凛が眉間にシワを寄せて不機嫌そうにしてたのは気になってはいるけど…。




/ 402ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp