第37章 行き交う
「碧も脱げばいいじゃないか?」
リコには言われると思っていたが、何故か木吉に言われた。
男子が女子にする発言としてはどうかと思う…。
案の定、「ダァホ」と近くに居た日向が突っ込んだ。
「水戸部に絞められるぞ」なんて物騒な事を呟く。
「私は脱げないもん」
「リコみたいなの、持ってないのか?」
目線を移し、木吉が指差す先には、既に制服を脱ぎ捨てて、黒のホルターネックを着ているリコ。
私はいつものように、Tシャツとハーフパンツだ。基本、露出度の高い服は持っていない…。
「無いよ。それより…大丈夫?ちょっといきなり過ぎない?」
「さっきリコにも聞かれたけど、鈍った身体を叩き起こすにはちょうどいい。大丈夫だ」
ダラダラと汗を流しながら、そう木吉は笑う。
「無理はしないでね」
座り込んでいる彼の首元に氷水で冷やしたタオルを当てた。
「冷てっ!」
木吉の叫び声で皆がこちらを向いた。