第36章 伏せる
再び目覚めたのはお昼頃。
少し前にコガからの着信があった事をケータイが知らせている。
時計をみると、たぶんまだお昼休みの時間。
気分はそんなに悪くない。
コガに電話をかけてみた。
さほどコール音は鳴らずに「もしもしー」とコガが電話に出る。
「電話ごめんね。何だった?」
「陽向ー。風邪?大丈夫?」
「朝よりも熱は下がったと思うよ」
「そっかー。よかった。それでさ、昨日の話覚えてるー?」
呆けている頭で考えると思いあたる事がひとつ。
「合宿の食事?」
「そうそう」
「私が作るから大丈夫だよ。皆に迷惑かけないように体調管理もちゃんとする」
「そうなんだけどねー。皆の食事となると大変でしょ?連日、一番早くに起きてもらって、陽向ばっかりに負担がいっちゃうのもどうか?ってカントクが言い出してさー。でも、カントクの料理ってアレじゃん?だから、日向達の案で今日の放課後に練習してもらおうって話になって…」
「そっ…か。が、がんばれ…」
「うぇー。見捨てないでよー。なんとかする方法ない?」
「うーん。ごめん。無理…かな?」
その後も不満の声が聞こえたけど、学校にいない私はどうにも出来ない。
コガにお願いして、電話を凛にかわってもらって、「メールの返事できなくてごめんね」と言って電話を切った。
(今日は休んで良かったのかも)なんて、心の中でちょっと思った。