第36章 伏せる
「…着替え中…デス」
私の力ない抗議に、目一杯呆れた顔をしたお兄ちゃんは、
「妹の裸見て盛り上がる様な変態じゃないし。しかも今さらだろう?」
と、呟いた。
確かに今さらだと思う。
さすがに裸でうろちょろすることはないけれど、下着姿やタオル1枚で、うろちょろすることはしょっちゅうだ。
面倒なので、洗濯物を別にすることもない。だから、お兄ちゃんが私の下着を干すなんて普通のことだ。
『家だからって気を抜きすぎだ』
『もうちょっと恥じらいなさい!!』
といつも怒られるのは私の方だ。
「そうデスね…」
「んな事より、ほら。水分取れよ」
着替えを済ませた私に、冷たいスポーツドリンクが手渡される。
「俺、今から出るから。ちゃんと寝とけよー。お粥あるから食えよー」
「ありがとう」
返事をして、ベッドに戻る。
やっぱりまだダルい。
もう少し寝ようと目を閉じた。