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【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第34章 触れる


ベンチに腰掛けようとすると、ぐいっと身体を引かれる。

突然の事に身体が傾くけれど、抱き止められる形で凛の脚の間に腰をおろした。

そのまま、ぎゅうぎゅうと抱きすくめられる…。


「ちょ、ちょっと、凛?」

小さく身を捩ってみるが、さらに力が加わるだけで無意味だった。

私の右肩に顔を埋める凛の髪がくすぐったい。


「木吉?」


思い当たる疑問を口にすれば、ビクッと凛の身体が跳ねた。

『実力主義』と言うコガの言葉を思い出す。


木吉が戻ればセンターは木吉になるだろう。
だからといって、元のポジションには火神がいる。

きっと…

凛は…

スタメンではなくなるんだろう。



不安…なのかな?

今の凛は甘えている様に感じた。


居場所が無くなるような、
そんな感じがするのかな?

凛が木吉の穴を埋めようと努力していた事、
陰ながら皆をしっかり支えていた事はバスケ部の誰もが充分に分かってる。

「木吉が戻ったって凛が要らなくなるわけじゃないよ」

そう言うと身体から腕が離れて凛がケータイを操作する。





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