第34章 触れる
木吉が戻ると聞いてから凛の様子がおかしい。
学校や部活では変わらないように見えるが、皆の姿が見えなくなると、不安そうな顔をしたり、難しい顔をする。
休み時間に、こっそりコガに相談してみた。
コガ曰く、
「俺にも詳しい事は言わないけど、何となく水戸部の気持ちもわかるよ。俺も一年が入ってからはベンチだしさ。スポーツは実力主義だからねー」と。
私には経験のない世界…。
「最近変だよ、どうしたの?」
帰り道。
隣を歩く凛に、聞いてみた。
凛がフルフルと首を横に振る。
私がもう一度「凛?」と問いかけると、
困ったように眉を下げたまま、少し先に見える公園を指差して首を傾げた。
『行ってもいい?』『寄り道しても大丈夫?』と。
「時間は大丈夫だよ」
私の答えに凛が頷いて、二人で公園にむかった。