第34章 触れる
決勝リーグ。
諦めなかった皆は凄いと思ったし、とても格好よかった。
それでも大差で負けた事実は変わりなくて、次も、その次も、ズルズルと引き摺られて、IH予選はおわった。
『挑んだ者全てが勝者になるわけではない』
皆がそれを痛感した。
つぎの日の練習。
「3倍?」「4倍?」と問うリコに皆の顔が青くなる。
その問いを吹き飛ばすように、
「うっしゃー」
なんて、気合いを入れて練習がはじまったけど…
やっぱり…
皆、吹っ切れてはいない様。
無理もないと思う。
私だって、吹っ切れてはいない。
なれるはずもないのに、桃井さんのようになれたら…とも思った。
見るに見かねて、
「冬に全裸は寒いわよ」
なんて選手を鼓舞するリコは、先を見据えるカントクの顔をしていて、とても頼もしい。
私とは大違い。
《ウインターカップに全てをぶつける》
皆が少し息を吹き返したとき、木吉が戻ってくる事も告げられた。