第27章 知る
帰り道。
なんか疲れた…
「はぁー」
堪らず、ため息が漏れると心配そうに凛が眉を下げる。
あれから体育館へ行けば、何故か女子だらけになっていて、その中心に黄色い髪の男子が居た。
黒子のオトモダチで、『キセキの世代』の黄瀬って人らしい…。
バスケどうこうよりも、ファッション誌でなら彼を見たことあるような気がする。
普段より、人が集まるだけでも私は気が張るのに、
『アイサツ』とか言って、火神と黄瀬くんが1on1とか始めるし、
黄瀬くんが『黒子っち下さい』とか言い出すし、
体育館の空気がいつもと違って、本当に疲れた。
しかも、週末に彼の高校と練習試合をするらしい…。場所は神奈川だと聞いた。
今の所、それが一番の『疲れ』の原因だったりする。
「神奈川まで行ける気がしないよ…」
下を向いて弱音を洩らせば、ぎゅっと手が握られた。
『大丈夫。俺がいるよ』
そんな思いが手のひらから伝わる。
でも…
慣れなきゃダメなのは分かっているが、電車に乗るのはやはり気が重い。
「迷惑かけます」と頭を下げる私に、凛がフルフルと首を振って頭を撫でた。