第25章 結わえる
前を向いてクラスメートを見渡していると、後ろからガガガっと机をずらす音がして、後ろ髪に指が通った。
凛だ。
凛は私の髪をよく触る。
サラサラしてて気持ちいいと褒めてくれた。
くくっていても解かれてしまうので、今では下ろしていることの方が多い。
くくるのは部活の時くらいだ。
でも、教室でされるのはちょっと恥ずかしい…
やめてもらおうと振り向くと、凛が髪を梳くジェスチャーをした。
「櫛?」と聞いてカバンから探し手渡す。
今度は私の手首を指差す。
手首につけてあるヘアゴムを1つ渡した。
『そっちも』と指差すので、手首に残っていたヘアゴムも渡す。
次は前方を指差し、背中に手を当てるので促されるままに前を向く。
また、ガガガガーっと机をずらす音がして、
後ろの凛が立ち上がった。