第25章 結わえる
「知ってると思うけど、僕さ、チビなんだよね」
そう…確かに堀内くんは小さい。
その身長と中性的な見た目で、たまに女の子に間違えられると、前にぼやいていた。
周りから『男女で身長が逆』なんて対比される度に『僕だって、陽向さんと身長を交換したい‼』と言われた事もある。
私だって、交換できるならお願いしたい。
160センチに満たないと言う彼の身長はとても羨ましい…。
お互いに無い物ねだりの私達なのだ。
「だからさ、陽向さんが前に居ると黒板見にくいんだ」
そう言われて前を向くと、一番前に男子が座っているものの、あとは小さめの女子が居るだけだ。
確かに、彼にとっての壁は私だと思う。
「だから、先生には僕が許可とるから変わってもらえないかな?一番前の彼が後ろにくるより、彼氏が後ろの方が陽向さんもいいでしょ?」
目配せをするように堀内くんは笑った。
「わかった。ありがとう」
そう返すと、
「じゃあ、交代ね。許可とってくる」
と彼が立ち上がる。
しばらくたって、「okだって」と戻ってきた。
荷物をまとめて交代。
堀内くんのおかげで、凛と前後の席になれた。
嬉しい。