第23章 圧される 【side 宮地清志】
航が静かに怒り出す。
コイツは怒るとヤバイ。
「いい機会だ。あんときは碧に頼まれたから何も言わなかったが今言ってやる!!碧が痴漢に会ったのはお前のせいだ!連れ回した挙げ句、いつもみたいに怒鳴り付けて、置いてきたんだろ?」
「否!そうじゃ…」
「黙れよ!!その後の碧がどうだったのか忘れたか?それにな、いいか?いつものもそうだ。お前のやってることは、『守ってやる』とか『助けてやる』とかそんなんじゃねぇぞ。碧を思い通りにしたくて怒鳴りつけてるだけ。いい加減気づけ!!んで、今後、碧を泣かすなよ。次は殺すぞ。マジで…」
そう、睨みつけて出ていった。
俺も人の事は言えないが、口がわる過ぎるだろ。
バタンと扉が閉まると、「兄貴」と裕也がこっちを見据える。
「俺も航に同感だ。ってか、俺に言わせりゃどっちもどっちだ。お前ら2人とも碧に構いすぎ。助けてくれって言われた時だけ、手ぇ貸してやりゃいいんじゃねぇの?実際問題、兄貴がアイツとどうなりたいのかは知らねぇけど、法律的には問題なくても倫理的にどうなんだって話しだろ?兄貴も航も、シスコン、キモいぞ」
そう言い捨て、
「航の部屋行くわ」
と出された布団を持って裕也も出ていく。
残された俺は、ただそれを眺めていた。