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【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第23章 圧される 【side 宮地清志】


ファミレスで飯食って、
帰宅後に順番に風呂に入って、
裕也と同じ部屋で寝転ぶ。

伯父さん用に空けてあるという部屋には、小さなラックと、カバーのかかった電子ピアノが置いてあった。

碧のだ。

カバーを外してみると、「全然、弾いてないらしいぞ」と裕也が言った。

「ギターはたまにいじるらしいけど、ピアノは全然なんだと。まぁ、あんときからピアノ習うのは辞めたしな…」


最後の一言がザクリと刺さる。
碧が好きだったピアノを辞めたのは一人で通えなくなったからだ。
人前に出れなくなったからだ。


「それに、その本の代わりに栄養学やら、ルールブックが碧の部屋に並んでたぞ」

隣のラックを見れば、ピアノの楽譜や、手話、点字の本が立て掛けてある。
俺の知ってる碧はこっちだ。


「意外だけど、ちゃんとマネージャーやってんだよな。あんま心配する事無かったんじゃねぇの?」

裕也の問いかけに、
「はぁー」っとため息がこぼれると、
「清志」と航がドアを開けた。

ノックとかしねぇのかよ。コイツ…

「お前がグズグスしてるからだぞ。知らねーぞ」とドアから顔を出して笑う。

コイツのこの顔、うぜぇ。
むかつく。

「意味わかんねぇよ」

「碧、変わっただろ?」

「だから、何だよ」

「気づかねーの?」

「何がだよ‼」

言葉毎に部屋の中へ足を進める航と意味の分からないやり取りが続く。

イラつきはじめた俺に、裕也が口をはさんだ。

「だから、兄貴がぐずぐずしてるからだって言ってんだよ。彼氏できたらしいぞアイツ」

「はっ?」

「来たとき見たんだよ。Cの奴と一緒に帰ってきた」

裕也の言ってる意味がわからねぇ。

アイツ、男子苦手だろ?
彼氏とか冗談だろ?
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