第22章 圧される
引き留めたのに清志くんはしゃべらない。
一つ深呼吸をして、
「どうしたの?」と問い掛けた。
「航から聞いた」
そう、清志くんは答える。
「えっ?何を?」
聞き返すが返事はない。
「清志くん?」
「………ねぇよ」
何を言ったか聞こえない。
「えっ?…何?」
「彼氏って何だよ…。浮わついた気持ちでやってんじゃねぇよ‼」
ドンっと私の両肩を壁に押し付けて清志くんが怒鳴った。
その音でお兄ちゃんの部屋の扉が開く。
「どーした?」
顔は笑っているが、目は笑っていない。
すごく怒ってる時の顔。
見ている先は私ではなく清志くんだった。
清志くんの手が緩んだので、身をよじって抜け出し、
「うるさくしてごめんなさい。行ってきます」と頭を下げて家を出た。
清志くんに掴まれた肩が痛い。
どうして、怒鳴られなければいけないのかわからない…。
学校に着く頃に
【悪かった】という清志くんのメールと、
【許してやれ】というお兄ちゃんからのメールが届いた。
それぞれに、【私もごめんなさい】【わかってるよ】と返したがモヤモヤは消えない。