第20章 伝わる
息を整えた水戸部は、私の目の前にケータイの画面を差し出した。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
どうして避けるの?
俺、陽向に何かした?
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
画面にはそう書いてある。
「さ、避けてないよ…」
語尾が小さくなっていく。
水戸部の顔が見られない。
ずっと下を向いていると、ぐいっと腕を引っ張られ、いつかの様にそのまま歩きだした。
「あ、あの…何処に行くの?」
聞いてみるけど、返事も反応もない。
引っ張られるまま連れて来られたのは小さな公園で、ベンチの前に立ち止まると、私の両肩に手を掛け、下方向に力をこめる。
余りの勢いに、ぎゅっと目をつむると、
ドスンと言う音をたてて、強制的にベンチに座らされた。
水戸部も隣に腰をおろす。