第20章 伝わる
あれから数週間。
せっかくアドバイスをもらったのに、私は何も変われなかった。
あからさまに目を反らす事は減ったと思うが、やはり水戸部を避けてしまう。
先日の文化祭もそう…
誘ってくれた二人のお言葉に甘えて、三人で回ったんだけど…
緊張しすぎてドキドキして…。
コガの話に頷くばかりで、ちっとも水戸部の方を見ることができなかった。
後から、『一緒に写真撮った?』なんて彼女に聞かれたけど、とんでもない。
それどころじゃない。
もう、重症だとおもう…。
今日の帰りも、誰も居ないのを見計らって、逃げるように校門を出た。
最近はいつもこうしている。
帰り際に水戸部に見つかれば、
たぶん『あぶないから、送る』となるだろうし、
でも…
二人になると、
緊張し過ぎてわけがわからなくなってしまうから…。
だから、誰も居ないのを見計らっていた。
それなのに、誰かにガシッと腕を捕まれる。
ふいの事に思わず肩が跳ねて、
身体が強ばって…
それでも、おそるおそる振り向くと、
怒った表情の水戸部が居た。
息が切れている。
きっと、走って来たんだろう…。