第2章 出逢い
「あー。コイツ運動は全然ダメ!だから、バスケはやってないぞー」
助けてくれたのは、お兄ちゃん。
「因みに、こうやって囲まれるのも苦手」
と、私の腕を引いて彼等から私を離した。
いつもの癖で、お兄ちゃんのシャツをぎゅっと握る。
それに答える様に、お兄ちゃんはポンポンポンと三回、私の背を叩く。
これは『大丈夫』の意味。
不安になった私を落ち着かせる為にお兄ちゃんが、してくれていること。
甘えているのも、
甘やかされているのもわかっているけれど、
私は、どうしても人に囲まれるのは苦手。
いじめられたりからかわれたりするとき、
先輩たちに呼び出されたりしたとき、
よくこうやって囲まれたから。
逃げ場がない状況は、嫌な記憶が頭を掠めるから…。
顔をあげれば、
「もう、アンタ達は…」とリコちゃんの呆れた声に続いて、土田が「陽向、ごめんな」と言う。
「でも、せっかくだしマネージャーどう?確か、陽向は部活入ってなかったよな?経験者じゃなきゃ出来ないってわけでもないだろうし。俺も未経験だし…なぁ、カントク」
そう同意を求めた。
求められたリコちゃんも、
「そうね‼やる気次第‼いつでも大歓迎よ!」と笑顔で言った。