第17章 気がつく
水戸部が男子に掴みかかっているのが見える。
「水戸部まずいって」。
コガが止めるが手は離れない。
怒ってくれている水戸部の気持ちは嬉しい。
でも、いくら相手が悪くても、暴力沙汰は問題になってしまう。
「水戸部、やめて。ねっ?やめよ?私、大丈夫だから…」
男子を掴んだまま、フルフルと首を振る彼。
「『最低だ』って。『陽向に謝るまで離さない』って言ってるよ」
コガが口を挟んだ。
「俺も水戸部に同感。イタズラで済ませていい事じゃないだろ?本当、最低だと思うよ」
「わかった。謝るから離せよ!」
水戸部から解放され、ばつが悪そうにこちらを向いて彼は「悪かった」と謝った。
「もう…いいから…」
そう告げると、男子は逃げるように立ち去った。
「陽向、大丈夫?」
「うん。大丈夫。ありがとうね。スカート短いのかな?採寸し直して貰おうかな…」
「他の女子と変わんないって。陽向の背が高い…ってか、背丈がある分、他の女子より足が長いからそう見えるだけだよ。陽向は悪くないから、そんな事気にすんなよ。なっ、水戸部」
コガの後ろで水戸部が頷いた。
「うん…。ありがとう。水戸部も本当ありがとう」
水戸部がニコリと笑って私の頭を撫でた。
胸の奥がキュッとする。
この感覚は知らない…。
「さぁ、部活行こーぜ。俺らも日直で遅れちゃったし。あんまり遅いと、カントクがヤバい…」
コガに促されて部活へ向かった。