第17章 気がつく
「サンキューな。そんな怒るなって。ちょっとしたイタズラだろ?減るもんじゃないし」
ペアの男子はまたヘラヘラとする。
気分が悪くてうつむいた。
「陽向のスカート短くね?そんなに短くしてる方も悪くね?ってか、下から見えるって気づかない陽向もどうよ?ちょっと考えりゃ分かることじゃん。なのになんの疑いもなく上ったんだから、あんまり気にしてないって事だろ?なっ?陽向?」
本当…嫌だ…
コンプレックスである自分の身体。
他人より早く成長期を迎えてから、私はよくこの類いのからかいを受けていた。
小学生の時は、スカートを捲られたり、言葉でからかわれたり、
中学生の時も、今みたいに下から覗かれたり、言葉だけでなく身ぶり手振りがついたり、
先輩達に囲まれて触られそうになった…事もある。
最後のには、モテる清志くんや裕ちゃんに『いつもベッタリで気に入らない』という恨み(?)みたいなものからそうなってしまったんだけど…。
でも…
何があっても、いつも清志くんや裕ちゃんが守ってくれた。
私は、それに甘え過ぎていたんだと思う。
だから、今、何も言えない。
抗議の言葉が出てこない。
『お前がちゃんと嫌だって、言わないからこうなるんだ』
事がある度に清志くんに言われた言葉。
『言われっぱなし、やられっぱなしでいいのか?』って。
…わかってる。
自分で抗議をしなきゃいけない。
いけないのに…。
泣きそうだ…
うつむいたまま、悔しさにぎゅっと目を瞑るとガシャン‼と大きな音がして、顔を上げた。
…えっ?