第17章 気がつく
その日の部活は全然集中できなくて、ミスばかり…
帰りは水戸部に送ってもらったが、二人の時間がやけに緊張して、
もう、何が何だか分からなかった。
入浴後、ソファーに座ってぼーっとしているとメールの受信音が鳴る。
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From:水戸部
To :
Sub :こんばんは
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遅くにごめん。
ちょっと心配だったからメールした。
大丈夫?
陽向は悪くないから気にしちゃダメだよ
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教室での事だよね?
部活中も集中力ゼロだったし…
心配かけちゃってたんだ。
水戸部、優しいから…。
【本当にありがとう。大丈夫だよ】
そう、返信した。
心配を掛けて申し訳ない。そんな思いも込めて。
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From:水戸部
To :
Sub :
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よかった。
だけど、陽向はもう少し危機感を持ったほうがいい。
じゃあ、また明日
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危機感?
一様、人並みには気を付けてはいるつもりなんだけど…
やっぱり、言い返さない私が悪いんだろうな。
【気を付けます。また明日ね】と返す。
画面に残った水戸部からのメールを眺めていた。
『心配だった』の文字に頬が緩む。
「ニヤニヤしちゃってどうした?」
コツンと肘で私をつつきながらお兄ちゃんが隣に腰掛けた。
「ニヤニヤなんて…してないもん」
「顔赤いぞー」
「違うもん」
「なんだよー。兄ちゃんにも教えろよー」
からかう様な、
お兄ちゃんの意地悪な顔に耐えきれなくて、
ソファを離れて自室にこもる。
今朝、教室で話していた事を思い出した。
私、水戸部が『好き』なのかな?
とたんに顔が熱くなって、
誰も見てないのに恥ずかしくなって、
ベッドに潜りこんだ。