第17章 気がつく
放課後。
いつもならすぐに体育舘へ向かうけれど、今日は教室に残っていた。
担任の先生の話しは『明日、プロジェクターを使うからスクリーンをセットしておいて欲しい』だった。
「俺、持ってくるよ」
そう、ペアの男子が申し出てくれたので、素直に甘えて教室で待っている。
しばらく待っていると、男子が戻ってきた。
「持って来たぞー。はい、よろしくー」
私の目の前にある教卓にスクリーンを置く。
「あの…。よろしくって…私が付けるの?」
「当たり前だろ。だってアレ」
上にあるフックを指さして
「俺と陽向、どっちが背が高いと思う?」
と彼は聞いた。
確かに私の方が少し高い。
でも、その差は1センチや2センチくらいの差。
正直、どっちがつけたって変わらない。
そう思うが…言えるわけない。
「そんなに重いものじゃないし、俺が持って来たんだから陽向がやってくれてもよくない?」
そう言われてしまっては、もう反論できなくて、教卓をずらして上靴を脱ぎ、その上に乗った。
下から、男子がスクリーンを渡してくれる。
ニヤニヤしている顔が、なんだかバカにされているようで嫌だった。
早く済ましてしまおう。
そう思って背伸びをするが、ちょっと届かない。
一度足をつきなおし、もう一度背伸びをしようとしたとき
「陽向!」
と後ろから誰かに呼ばれた。