第4章 3 玉章と七つの影
その頃リクオ達は
「あ~、二人とも、ちょっと落ち着いて。」
にらみ合う氷麗とカナを離そうと、リクオは二人の間に入る。が、カナの足に躓き体が前へかしぐ。
「え?」
「あぁ!」
「若!」
倒れると思ったら、目の前の誰かにぶつかってしまった。丁寧にも肩を掴まれ体勢を立て直す。
「・・・・・すみません。」
謝ろうと顔を上げると、それは背の高い人物で、癖のない黒髪をしていた。
「奴良……リクオ君だよね?」
「?!」
突然名前を呼ばれ驚きに驚く。その人物はリクオから、後ろにいる紫苑に視線を移した。聖夜はその視線からかばうように、紫苑の前に立った。
「そして…そこの美しい姫君は、霧椿紫苑さんかな。」
「…何者。」
「何もんだてめぇ。」
聖夜が静かにつぶやき、青田坊がリクオを助けようと前へ進みで掴みかかろうとする。リクオは腕でそれを制すると静かに向き合った。
「青!じゃなくて、倉田君!」
紫苑は聖夜をどかしリクオの後ろに立ち、何も言わず目の前にいる怪しげな瞳を見つめ返した。