第4章 3 玉章と七つの影
「若ぁ!」
「青、首無し。」
「もしかして、若達も鴉天狗様を?」
首無しが問いかけると、リクオは頷いた。
「うん、ちょっと気になって。…何か言ってた?」
「いいえ。なんせこっちに気付きもしないで飛んで行っちまったもんで。」
「総大将、って言ってたよ。」
紫苑が何気なく言うと、皆驚いた顔をして紫苑を見る。紫苑は一瞬戸惑うも、聖夜を見上げ同意を求める。
「言ってたよね?」
「はい。どこにいったかと。」
「…よく、聞こえたね…」
リクオが感心して言うと、紫苑は普通じゃないと首をかしげる。すると、聖夜は自慢げに胸を張ると腰に手を当てた。
「我々はもともと獣の妖怪。人間の何倍も鼻が利き、耳も利きます。暇様は完全な獣ではないとはいえ、多少のお力は持っておいでです。あれぐらいなら簡単に聞き取れます。」
深く頭をふるリクオ達。紫苑は目をパチパチさせながら不安げに顎に手を当て、俯く。
「とはいえ、じいちゃんに何かあったのかな?」