第4章 3 玉章と七つの影
清継は立ち上がり、少女の方へ腕を伸ばした。
「紹介しよう。こちら、とても心強い我が団員。陰陽師の花開院ゆら君だ。ゆら君。こちらは転入生で新人団員。奴良君の従妹の霧椿紫苑君だ。」
「よろしゅう。」
「京都の方?私奈良県から来たんよ。」
「そうなん?近所やなぁ。…美人さんやし。立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花言うけどほんまやなぁ。」
ほのぼのと話すゆらに紫苑は鋭い視線を一瞬向け、首をかしげてリクオにそっと耳打ちする。
「陰陽師がいるの?」
「花開院さんだけだよ。修行だとか何とか…」
「かなりの使い手ね…」
「うん。天才陰陽少女とも呼ばれてる。」
「よくばれないわね。」
離し際につぶやくと、ゆらがこちらを向いていた。じっと紫苑に顔を近づけじろじろと観察するように視線を動かす。
紫苑は少々後ずさり気味に背を引きながらも声をかける。
「えっと…花開院さん?」
「今…一瞬………」
ゆらは訝しげな顔をするも元に戻ると、顎に手を当て首をかしげた。
リクオは少々冷や汗をかきながら、極力何でもないように聞こえるように問いかけた。ゆらはぶつぶつと呟くと、紫苑を見据えた。