第4章 3 玉章と七つの影
若菜手作りの美味しい弁当を口に運びながら、紫苑は皆の顔を気づかれないように見て回った。
リクオはそんな紫苑の横に座りながらそっと耳打ちをした。
「なんで急に?いきなり、わけわからないよ。」
「なんでって、私だって人間だしリクオと同じよ。勉強しなければならない年頃ですもの。」
「じゃぁ、なんで関西弁なの?しかも、奈良県って…」
「嘘じゃないよ。聖獣組本家は奈良県だもの。奈良からきて標準語だったら可笑しいじゃない。」
ひょうひょうと返す紫苑にまだ何か言いたそうだったが、カナが振り向き気持ち睨みつけるような目をしていたので急いではなれる。おおむね皆が食べ終わり、思い思いに休んでいると清継が立ちあがった。
「紫苑君。我が清十字団に入らないか?奴良君もいるし心配することはない。」
「清十字団?何するん?」
紫苑の問いに腰に手を当てながら、自慢げ人差し指を立てる。
「妖怪を捜したり、また妖怪に関する事件を解決したりするんだ。紫苑君、妖怪に興味はあるかい?」
「事件を解決したことなんてないけどね。」
「そうそう。」
沙織と夏美は野次を飛ばしたが、紫苑はふーんと頷いた。
「…おもしろそうやね。妖怪好きやし入ろかな?」
清継は跪き紫苑の両手を取ると嬉しそうに言った。紫苑は困り顔で引きつった笑いをする。
「そう言ってくれると思ってたよ。ようこそ、我が清十字怪奇探偵団へ。」
「皆なにしてはるの?」
おっとりとした顔の少女が清継に声をかけた。紫苑が顔をずらすとショートヘアの女の子が立っていた。